台湾海峡危機と台湾人民の自己決定権に関する予備的テーゼ②(『かけはし』2026年1月19日号・第2895号より)

プロレタリア民主ウェブサイト 編集部 ※〔 〕は訳者の補遺。

 ……中国共産党は「五族共和は一体である」という国民党の思想をそのまま継承しており、少数民族の自己決定権を認めず、また少数民族が「中華民族」に加わった後に、もし抑圧された場合には、そこから離脱する権利があることも認めていない。

……中国共産党の……考えは、「ロシアとウクライナは一体である」というプーチンの主張(そしてこれに基づいてウクライナに攻め入ること)と同じくらい反動的なものであり、反対しなければならない。中国共産党は「分離主義」という罪状を用いて台湾人を非難する。だが中国共産党は一度も台湾を統治したことはないし、台湾が中国本土から分離したのも、ずっと以前からのことである。さらには、歴史的に言えば先に誕生したのは「中華民国」であり、その38年後に「中華人民共和国」が誕生したことは誰もが知っている。

…… 我々は中国共産党の武力統一に反対し、民進党政府との対話を含む両岸の対話を支持する。民進党政権は台湾人民によって選出されたのであり、中国共産党が少しでも民意を尊重するのであれば、これまでの傲慢さを捨て、対話を開始し、武力統一を断念すべきである。

…… 中国本土の人々に必要なのは、武力統一ではなく対話を求める民間の平和運動を開始することである。

…… 我々は中国共産党の「平和統一」に対しても大いに不信を持っている。中国共産党第20回全国代表大会〔2022年10月〕の報告は、「平和統一、一国二制度という方針は台湾海峡両岸を統一する最良の方法であり、両岸の同胞と中華民族にとって最も有利である」と述べている。香港人はこの「最良の方法」を身をもって経験した。それは愛国(愛党)者しか立候補できない議会、民主的方法で議会の過半数の議席を獲得しようとすると「国家転覆罪」として投獄されてしまうような統一である。このような統一は、言論の自由もない全体主義社会への統一でしかない。今日の中国社会は、中国共産党が万人に向けて戦争を発動しつづけている暴力的社会である。このような極めて非平和的な社会への統一を、どうして「平和的統一」などと言えるのだろうか。いずれにせよ、台湾に対する武力統一は不正義な戦争であり侵略である。台湾においては、現時点でも依然として平和を訴える必要があるものの、武力で脅かされる弱い立場にあることから、台湾の人々が防衛のために戦争に備える権利、そしていざ戦争が始まったら抵抗を選択する権利は擁護されなければならない。清朝末期に台湾原住民や客家を含む台湾の漢人が日本の軍事侵略に果敢に抵抗し、清朝の役人や軍人が台湾を見捨てたのちも激しく抗日運動を展開し、短期間ではあるがアジア初の共和国――台湾共和国を建設したことを忘れるべきではない。

…… われわれは常に政府の権力乱用に警戒しなければならないし、「政権による防衛準備への支持は、政権党を政治的に支持することを意味するものではない」ことを強調する必要がある。

……現段階において台湾の側としては、平和の追求と無条件の対話を押し出しつつ、防戦の準備を控えめに遂行することが適切となろう。第二に、安全保障政策については、政府は市民の権利を侵害しないように特に自制し、行き過ぎのないように注意し、排外的ナショナリズムに煽らないようにする必要がある。さもなければ、容易に中国人すべてを誹謗中傷することに発展してしまい、それはかえって中国共産党に口実を与えることにもなり、またファナティシズムによって自己を抑制できなくなるであろう。最後に、台湾を守るための戦略は、おそらく半分は政治的、半分は軍事的なものになるだろう。軍事力だけに頼ることはできない。台湾が防戦に備えながら民主主義を強化し、人々の生活向上を図れば図るほど、そのソフトパワーは強化される。

…… 我々は、米軍が直接台湾に上陸したり、司令部を置いて戦争に参加することを望まないし、(かつて蒋介石が試みようとした)台湾の核武装と核戦争に備えた軍備はなおさら望むものではない。なぜなら、その時点で戦争は中国と米国という2つの超大国間の大規模な戦争に拡大してしまう可能性があるからである。このような規模の戦争は台湾の島嶼に壊滅的な被害をもたらすことはいうまでもない。核戦争は何としても阻止しなければならない。こういった戦争の影響は、台湾海峡を超えて東アジアの民衆全体に及ぶがゆえに、この地域の人びとも自らの安全を考える権利を持つ。たとえば沖縄においては、第二次大戦における悲惨な経験、そして戦後80年にわたり米軍基地がもたらす様々な屈辱と被害がいまも続いており、人びとは今日まで反戦平和運動を継続している。ゆえに沖縄民衆もまた台湾海峡危機に際して発言し、行動する権利をもっている。

…… 中国と米国の覇権争いにおいて、米国の方がより危険なので北京を支持するという立場であるが、中国も核保有国であり、世界最大の貿易大国であり、世界第2位の経済大国であり、そして世界第2位の軍事費支出国でもある。現在のところ、中国共産党が世界の人々に対して将来もたらすであろう脅威が米国の脅威より確実に小さいという主張は説得力に欠けるだろう。中国の軍事力はアメリカに及ばないが、総合的な脅威は必ずしも小さいものではない。なぜならトランプは独裁的で好戦的な政策を望んでいるものの、米国には依然として法的な、そして法律以外の多くの制限とバランスが存在するという政治的な現実がある。一方、中国の個人独裁はとっくに確立しており、彼が戦争を始めれば、誰もそれを阻止できないし、反戦運動の登場は米国よりも極めて困難であるという点が異なる。

…… 米中においてはアメリカが強者で中国が弱者である、という考えがある。しかし中国と台湾の関係では、中国が強者で台湾は弱者である。また中国は東南アジアの小国に対しても傲慢な態度で接している。

…… 我々のスタンスは……、米中両国の軍拡競争に反対するという基本的スタンスの枠組みの下で、台湾の自衛権を防衛するというものだ。かつてのロシア帝国がイギリスとフランスの後塵を拝しつつ、その周辺の小国にとっては主要な脅威となっていたとき、当時の労働運動の左翼はイギリスや英国といった強国に反対するだけでなく、ロシア帝国による周辺小国への侵略にも反対した。こうした歴史的事実からも、我々もまた台湾の自衛権を支持しつつ、アメリカが台湾危機を軍拡競争の口実とすることに反対する各地の反戦平和運動を今後も支持し続けるのである。我々は沖縄、日本、韓国、フィリピン、そして中国大陸における、すべての反戦平和運動への支持を表明する。我々はまた、東アジアの反戦・平和運動に対し、台湾海峡危機に直面した際に大国が小国を脅迫することに積極的に反対し、正義の声を上げるよう呼びかける。

…… 我々は独立する権利を含む台湾人民の自己決定権を支持するが、海峡両岸の力の差を考慮すると、国名を変えるためだけに戦争を惹起するのは賢明ではないと考える。逆に、旧国名を維持し、中国共産党に武力統一の口実を与えなければ、仮に中国共産党が武力統一へ踏み切った場合でも、少なくとも台湾に対して多くの国際的支持を得る可能性は高まるだろう。…… アメリカは表面上は台湾を保護しているものの、実際には台湾の人々の自己決定権を承認しておらず、中国共産党と同様に台湾の独立を押さえつけている。結局のところ、アメリカが台湾を守るのは、第一に自国の利益のためであり、台湾の人々のためではない。第二に、米国はいわゆる曖昧戦略を採用しており、台湾海峡の両岸の間で戦争が勃発した場合、台湾を支援するかどうかについては沈黙を守っている。

…… 世界の反戦平和の友人たちは、覇権争いの根源であるアメリカ、ヨーロッパ、中国、日本において、帝国間の覇権争いに反対し、世界規模での核兵器廃絶と軍縮の主張を強めなければならない。

訳注2:民進党台湾前途決議文(日訳) 
https://konansoft.jp/zenrin/taiwan_library/dpp1999_jp.htm

全文は、以下の新聞に掲載されている。

週刊かけはし https://www.jrcl.jp