台湾海峡危機と台湾人民自己決定権に関する予備的テーゼ①(『かけはし』2026年1月1日号、第2893・94号より)

プロレタリア民主ウェブサイト 編集部〔訳注1〕※〔 〕は訳者の補遺。

…… しかし民衆の視点からいえば、「台湾」あるいは「中華民国」をどのように考えるのかという際には、米中両国あるいは各国政府の見解に基づいてのみ判断するのではなく、民主主義の原則や台湾海峡両岸の実際の政治的変化に基づいて独自の判断をするべきである。
 1949年に中国共産党政権が樹立されると、国民党は台湾に撤退したが、国民党の汚職や腐敗は周知の事実だった。かたや中国共産党は革命的進歩性を代表しているように見えた。そのため、国際的な反植民地闘争や進歩派、ソ連陣営はいずれも北京政府を支持し、台北政府を批判した。台湾海峡両岸の統一についても中国共産党による統一を支持または賛意を表明した。
 しかし中国共産党が建国後に犯したすべての反動的行為が1979年以降に明らかになると、台湾統治時代の国民党よりもましだったとは決して言えないことが明らかになった。一方、国民党は党外運動〔民主進歩党をはじめとする民主化運動〕の圧力により、ついに2000年に政権の座を明け渡すことになった。
 台湾は政治的な一党独裁体制を終焉させ、人民は基本的な民主的権利、そして不当な政治をおこなう政府に対して抗議する権利を持つことになった(この権利は中国本土では全く存在しない)。
 こうして、台湾海峡両岸の政治的対比はかつてとは大きく異なったことを認識すべきである。このような状況において、中国共産党が台湾を武力で統一するということは、反動的独裁政権が代議制民主主義(それがいかに多くの問題を抱えていようとも)を打倒し、台湾の人々がすでに享受している基本的な政治的権利、とりわけ社会的抵抗権を奪うことになる。
 社会経済的な性格から見ると、毛沢東時代の中国は反資本主義的で「社会主義」のスローガンが絶えず叫ばれており、国民党支配下にあった台湾の従属的資本主義よりも進歩的に見えた。しかし実際には、その「反資本主義」は社会主義への移行と同等ではなかった。中国共産党は早くに自らの利益のみを追求する特権階級の官僚支配集団へと堕落することで、幾千万もの人々の命を奪い、苦痛を強いていた。鄧小平による資本主義路線の時代になると、台湾海峡の両岸は同じ性質、つまりどちらも資本主義になり、台湾よりも中国大陸のほうが進歩的であるとは言えなくなった。
 加えて、中国共産党政権のほうが全体主義的であることからも、中国共産党政権による台湾の武力統一には一ミリたりとも進歩的要素はなくなってしまった。台湾人民の意思を無視し、力を誇示して小国を凌辱することは、重大な犯罪であることは言うまでもない。
 国際社会には次のような考えもある。つまり、台湾海峡危機は米中の覇権争いにおける代理戦争に過ぎず、コースメニューでいうところの「前菜」に過ぎないという考えである〔米中の対立こそが「メインディッシュ」〕。このような見解は2300万人の台湾人民の正当な権利を完全に無視する覇権国家的な視点であり、民衆の視点とは言えない。
  (つづく)
訳注1:プロレタリア民主ウェブサイト(普羅民主網)https://workerdemo.org/

全文は、以下の新聞に掲載されている。

週刊かけはし https://www.jrcl.jp/